緩和曲線道床素材の種類と使い方

基本的な使い方…小判型エンドレスで使う


緩和曲線道床素材の基本的な使い方は、オーバルとも呼ばれる小判の縁の形をしたエンドレスで、図の赤色の部分のように、直線と曲線の境目の部分に入れて使います。緩和曲線道床素材の間の円弧のカーブは一定の半径になるようにしていただき、その半径に合った規格の緩和曲線道床素材をご使用ください。

緩和曲線の種類はクロソイド曲線とサイン曲線の2種類がございますが、小判の縁形の単純なエンドレスの場合では、どちらをご使用いただいても構いません。走行動画などで見た目で選んでいただくのがよいでしょう。なお、緩和曲線道床素材同士を直接接続するような短いカーブの場合では、サインカーブをご使用ください。詳しくは、実物の緩和曲線の使用制限をご覧ください。

誤った使い方の一例


緩和曲線の曲線側には直線を接続しないでください。

緩和曲線の曲線側に、逆方向の曲線を接続しないでください。

緩和曲線の曲線側に、半径の合わない曲線を接続しないでください。

緩和曲線の曲線側同士を接続してS字カーブを作らないでください。

緩和曲線の曲線側と直線側を直接接続しないでください。

緩和曲線の曲線側と直線側を直接接続しないでください。

緩和曲線の直線側は、やむを得ずポイント(やポイント用大半径曲線)を接続する場合を除いて、曲線を接続しないでください。図は片開きでカーブと同じ方向の場合。

緩和曲線の直線側は、やむを得ずポイント(やポイント用大半径曲線)を接続する場合を除いて、曲線を接続しないでください。図は片開きでカーブと逆じ方向の場合。

緩和曲線の直線側は、やむを得ずポイント(やポイント用大半径曲線)を接続する場合を除いて、曲線を接続しないでください。図は片開き以外の場合。

緩和曲線の寸法と複線以上の場合


直線区間でも円曲線区間でも複線間隔を揃えるためには、図のように緩和曲線で曲がる角度を調整する必要があります。そのためうずまき模型の緩和曲線道床素材では、1本の道床の中に、直線部分緩和曲線部分円曲線部分の、最大で3種類の部分が入っています。複線間隔を揃えることが可能な組み合わせの内、内側から順に、R1、R2、R3…と表示しております。

図を見ると、外側に行くにつれて緩和曲線で曲がる角度が小さくなり、内側に行くにつれて、直線レールの隣の直線部分が長くなっています。また、緩和曲線を使わない場合との寸法の差は、枕木方向をYa、レール方向をX'aと表示しています。複線以上でご使用になる際は、YaX'aの寸法が同じ組み合わせでご使用ください。

30度中22.5度を緩和曲線といったタイプ

カーブレールの規格では、半径によって基準となる角度が様々です。例えば22.5度の内15度を緩和曲線にしたタイプや、30度の内22.5度を緩和曲線にしたタイプも制作する予定です。緩和曲線で曲がる角度が大きいほど、スペースを大きく使ってしまうため、半径や角度に合わせて、複数の組み合わせをご準備する予定です。

なお、複線間隔を揃えることが可能な組み合わせの内、内側から順に、R1、R2、R3…と表示しております。緩和曲線で曲がる角度については、R2以降の場合でも、R1の場合の角度を記載しております。(例えば一番内側のR1が、30°の内22.5°が緩和曲線の場合、R1に組み合わせることのできるR2以降のレールにも、角度は「22.5/30」のように表示しております。)

複線や、単線と複線の混在する場合…小判型

全線複線の小判型エンドレス


全線複線の場合では、YaX'aの寸法が同じ組み合わせの道床素材を使います。内側と外側とで複線間隔がそろうようになっております。

複線と単線が混在する小判型エンドレス


図のように片側が複線でもう片側が複線の場合では、複線の場合から、余る緩和曲線を除いたかたちで線路を敷けば大丈夫です。

2つの半径が存在する単線のダルマ型エンドレス


図のように複線の内側と外側の半径でエンドレスを作るような場合では、まず、緩和曲線を使わない場合でも、レールがきちんと繋がるレイアウトプランになっている必要があります。そのようになっている上で、両者のYaの値を同じにしてください。

2つの半径が存在する点対称な小判型エンドレス


全線単線の場合で2種類の半径を使って点対称なエンドレスを作る場合の例です。将来的にレールを買い足して複線化する予定がある場合では、YaX'aの寸法が同じ組み合わせの道床素材を使います。

手前の駅と反対側だけ緩和曲線を使う場合


直線と円曲線を緩和曲線で滑らかに繋ぐことは、特に半径が小さい場合は見た目がよくなりますが、同じスペースの中で使いますと、駅の長さが短くなってしまいます。そこで、エンドレス手前の駅の部分は緩和曲線を使わずに最大限駅のスペースを確保し、緩和曲線を使うのはエンドレスの奥の側だけにする、直線部分の長さを調整したレールもご用意する予定です。緩和曲線を入れない場合に比べて、レール方向のズレX'aの寸法を、基本のレールの長さ、あるいはその半分や1.5倍などに揃えたレールです。特にサインカーブの場合では、単純な小判型以外でも使いやすくなっております。

2種類の半径を使った小判型エンドレスで駅と反対側だけに緩和曲線を使う場合では、線対称な線路配置にして、直線区間で端数調整のレールを使ってください。駅の長さの確保を優先する場合では、図のように駅の側に半径の小さなカーブを使うことになります。この場合TOMIXでは、図の上側にS33を2本入れて調整することになります。上下で半径の組み合わせが逆の場合では、下側にS33を1本ずつ入れて上側にS18.5を2本入れて調整することになります。

四角形の四隅にカーブのあるエンドレスの場合

広いスペースなどで、長方形の四隅にカーブがくるようなレイアウトプランの場合です。直線部分の長さと、円曲線の長さの関係で、サイン曲線を使用した方がよい場合があります。

円曲線が長い場合


緩和曲線同士に挟まれた円曲線が1両以上と長い場合くでは、クロソイド曲線を使用することが可能です。

円曲線が短い場合


緩和曲線同士に挟まれた円曲線が短い場合では、サイン曲線を使用してください。

小判型から斜めに伸ばす場合

今度は、小判型から斜めに伸ばすレイアウトプランです。斜めに伸ばす関係で、緩和曲線道床素材の曲線側同士を直接繋ぐ場合では、この部分は基本的に、サイン曲線のものを使用してください。一方で緩和曲線道床素材の間の円曲線が長い場合では、クロソイド曲線を使用することも可能です。

斜めの部分が長い場合


斜めの直線部分が長い場合(1両分以上の場合)では、間に曲線レールが入る方の緩和曲線は、クロソイド曲線を使用することが可能です。
一方で、緩和曲線道床素材の曲線側同士を直接接続するような場合(間の円曲線が短い場合)では、基本的にサイン曲線をご使用ください。クロソイド曲線を使用する場合は、間に円弧が入らない場合に限り使用可能ですが、非推奨です。

斜めの直線部分が長い場合(1両分以上の場合)では、間に曲線レールが入る方の緩和曲線は、クロソイド曲線を使用することが可能です。
一方で、緩和曲線道床素材の曲線側同士を直接接続するような場合(間の円曲線が短い場合)でかつ複線の場合は、サイン曲線をご使用ください。

小判型以外の場合と実物での使用制限

今回ご紹介した緩和曲線道床素材の内、特にクロソイド曲線のものは、直線と円曲線の間に入れることを前提としております。緩和曲線と緩和曲線の間の円曲線の長さについては、クロソイド曲線の場合では実物では各種制限があります。模型ですので実物と同様の制限を守る必要は必ずしもありませんし、模型ではそもそも緩和曲線自体を使わないのが通常ですが、より滑らかで走行性のよいレイアウトプランを作るために、実物における緩和曲線の制限についての解説(上級者向け)もございます。

なお、ポイントと緩和曲線の直接接続については、通過列車の場合だけを考え、待避線を走行する列車については、実物のような厳しい基準を適用する必要はないでしょう。