緩和曲線道床素材のご紹介

直線と円弧を滑らかに繋ぐ

Nゲージではどうしても避けられない、直線からカーブに入るときのカクっという独特の動きを、緩和曲線で抑えることができます。緩和曲線が入ると、直線とカーブレールの間が滑らかな走行になります。

なお、緩和曲線の種類と長さ台車間距離によっては、緩和曲線ならではの独特の動きとなる場合もあります。

レールの取り付けと塗装だけ

緩和曲線道床素材は、半径や角度に合わせて3Dプリントされています。ただ走らせるだけでしたら、KATOの引き抜きレールの切断・整形と、レールを通してジョイナーを取り付けるだけで走行可能となります。塗装についてはお好みでどうぞ。

3Dプリントで各種半径・角度に対応

直線と円曲線を滑らかに接続する緩和曲線の道床素材を、各種半径・角度や種類に合わせて、3Dプリントデータで作成しております。形状は実物でも使われているクロソイド曲線とサイン曲線のデータを作成中です。軌道中心が正確な寸法になるよう、mm単位で小数第2位以上の精度で計算しております。

ABSライクで3Dプリントした緩和曲線道床素材の試作品に、レールとジョイナーを取り付けた写真です。材質はアクリルに変更予定です。

線路の間隔を直線部分と円曲線(円弧)の部分とで揃えることが可能となるよう、角度等の寸法を調整しています。また、省スペース性を犠牲にすることなく線路の間隔を揃えられるよう、半径・角度について、各種組み合わせを作成する予定です。

強度と塗装性から材質はABSライクアクリルに変更予定

緩和曲線ではレールの曲がり具合は一様ではありません。レールが柔らかく柔軟性の高いKATO製の引き抜きレールを使用することで、曲がり具合が一様でない道床にレールを通すことが可能となっています。なお、レールに曲げ癖をつけてから道床に通した場合でも、道床がレールから力を受けるため、比較的強度の高い材質として、ABSライクで3Dプリントしております。アクリルに材質変更予定です。

3Dプリントの精度で相互接続性を確保

3Dプリントの精度の関係から、既存の道床付きレールとの相互接続性を確保するため、接続部分は独自の形状を採用しております。ABSライクのプリント精度では表面に小さな凹凸が入るため、接続部分の各種厚みについて、実際の厚みを考慮した設計寸法としております。また接続部分の断面に関して、幅や丸い部分についても、あえて爪の断面に「く」の字形の独自断面を採用することで、少々太くても差し込めるようにするなど、接続互換性を高くしております。また、爪を受ける部分に関しても、丸い断面とはせず四角の独自断面を採用することで、プリント精度が高くなくても接続しやすくなっております。

「く」の字形の断面を採用することで、差し込みがきつい場合に削って加工しやすくなっています。
図はどちらも試作品のもので、実際の製品では少し形状が異なります。

他にも、レールとジョイナーの組み合わせに関して、別々のメーカーのものを組み合わせて使う観点から、道床側の形状について、幅や高さに関して内寸は余裕を持った形状とし、外寸は大きくといった工夫を凝らしております。また、曲線半径が異なっても使いまわしのできる形状を採用するなどしております。

K社用道床素材も接続部分は独自形状としております。3Dプリント素材の強度の関係上、ジョイナーの爪を受ける部分は内側だけとしております(外側にもあると強度が保てず、折れやすくなります)。ジョイナーは強く固定する側と緩く固定する側の2種類であることと、内側だけで左右の引っ張りが異なることから、接続部分が斜めになりにくいように、形状に工夫をしております。

また、枕木を筆塗り塗装する際に塗りやすくなるように、バラスト部分の高さを少し低めにするなど、使いやすさにもこだわっております。

種類のバラエティーをゆたかに

3Dプリントの精度の関係から、表面が完全に平滑にはなりません。そのため、あえてバラストや枕木の凹凸表現は行わず、バリエーションの拡大に力を入れていく予定です。

クロソイド曲線…直線逓減


鉄道では、遠心力の変化が直線状で、直線と緩和曲線の境界と、緩和曲線と円曲線の境界で、遠心力の変化に角折れが発生するタイプのものを「直線逓減」と呼んでいて、完全に直線で変化する「クロソイド曲線」を製品化しています。

遠心力の変化が直線であることから狭いスペースで緩和曲線を楽しめるので、単純な小判型エンドレスにお勧めです。

サイン曲線…サイン四半波長逓減


遠心力の変化が曲線状で、緩和曲線と円曲線の境界でだけ、角折れが発生しないサイン曲線も製品化しています。サインカーブでは緩和曲線の円曲線側の端で遠心力の角折れが発生しないため、緩和曲線に挟まれた円曲線が短い場合でも使用可能です。

模型では単純な小判型以外で使用する場合は、サインカーブの方が自由度が高くなります。

試作品走行動画

どちらの緩和曲線にするかは、走行映像を見て好みで選ぶのもよいでしょう。

クロソイド曲線の試作品の走行映像です。半径103mmでクロソイド曲線22.5°になります。
Nゲージカメラカーで緩和曲線の走行映像です。3つの180度カーブを走行します
・クロソイド曲線 R282mm (約22.5度が緩和曲線)
・緩和曲線なし R280+R317mm (90度ずつ)
・サイン曲線 R317mm (約22.5度が緩和曲線)
クロソイド曲線で複線の試作品です。上の動画の半径は103mmの外側に、半径140mmを加えました。

細いレールを保持する大きな犬釘

比較的細く、比較的柔らかいKATO製の引き抜きレールを使用することで、相対的に犬釘を大きくすることが可能となっております。3Dプリントでは下から上に向かって、薄い層を重ねていくようにプリントしますので、水平方向に亀裂が入るタイプの強度が比較的弱くなっております。そのため、柔軟性の高く細いレールを大きめの犬釘で受け止める構造にしております。

様々なレイアウトプランに対応

様々なレイアウトプランに対応できるよう、各種バリエーションを展開していく予定です。

駅の長さを短くしないタイプ


手前側の駅の部分は緩和曲線を使わず駅のスペースはそのまま確保し、エンドレスの奥の方だけを緩和曲線とする道床も制作予定です。

複線以上でも大丈夫


複線以上の場合、同じ角度を円曲線から緩和曲線に置き換えると、線路の間隔が揃わなくなります。そのため、緩和曲線で曲がる角度等を調整し、線路の間隔が多くても対応できるようにしております。

緩和曲線の種類はクロソイド曲線とサイン曲線の2種類がございますが、小判の縁形の単純なエンドレスの場合では、どちらをご使用いただいても構いません。走行動画などで見た目で選んでいただくのがよいでしょう。なお、緩和曲線道床素材同士を直接接続するような短いカーブの場合では、サインカーブをご使用ください。