レールの加工と調整
道床にレールを通す前の注意事項
引き抜きレール
レールは、柔らかくて柔軟なものを使用します。(太く断面形状が異なるレールは取り付けできません。無理に差し込むと道床素材を破損させますので、取り付けようとしないでください。) なお、断面が合うレールについては、道床付きレールから取り外しても、フレキシブルレールから引き抜いても、どちらでも構いません。
引き抜きレールの注意事項
道床付きレールは、道床からレールがずれないよう、写真のように凹みがあります。この部分をそのままにして道床素材に差し込むと、道床素材を破壊してしまうため、レール切断面と同様、ヤスリで削ってきれいに整える必要があります。
引き抜きレールの切断と整形
道具に関しては、レールを切るための道具として、金属用のペンチやニッパか、金属用の糸鋸が必要になります。また切断したレールの端を削って整えるための、金属製のヤスリかダイヤモンドヤスリ等が必要になります。金属製のヤスリを使う場合、目が粗いとレールにしっかりとギザギザのかたちが付くため、目の細かいものを利用することをお勧めします。削りやすさの観点からは、ダイヤモンドヤスリを使用することをお勧めします。
レールの切断は、ニッパやペンチを使う方が容易です。なお、金属用のニッパやペンチを使ってください。金属用のものでも、切ることのできる金属の太さなどが書いてあるので、対応できるニッパやペンチをご使用ください。特にプラスチック用のニッパは刃がボロボロになりますので、絶対に使用しないでください。
レールを切断した部分は写真のように、レール面の上やレールの底面の下などに出っ張りができます。このような部分は全て、きれいに削り落としてしまいます。なお、曲がり具合が一様ではない道床にレールを差し込むことから、図のように、レールの底を斜めに削ってください。さらに、レールの細くなっている部分も、両面を斜めに削るのを忘れないでください。斜めに削っていない場合では、犬釘の内側を大きく削ったり、犬釘自体を破損させてしまう場合があります。なお、引き抜いたレールの切断していない端部についても、底と細い部分を斜めに削ることを忘れないようご注意ください。
一旦長めにレールを切断し、道床に通した状態で長さの調整や端部の加工を行う関係上、レールの両端ともに、底と細い部分を斜めに削るようにしてください。
レールの取り付けと長さの調整
レールの曲がっている方の端に曲がり癖をつけることが難しい関係上、長めに切断・端部加工を行い、道床に通してから不要部分を切断します。
レールを取り付ける前に、ある程度レールに曲げ癖をつけておいてください。犬釘の内側にはある程度の遊びがあるため、道床素材の曲がり具合に合わせてレールを通すには、あらかじめ曲がり癖を付けておく必要があります。曲がり癖を付けずにレールを通すと、写真のようにレールが真っすぐになろうとします。また、曲げ方が悪く角折れが生じると、写真のようにレールにカクっと折れが発生してしまいます。端の方は曲がり癖を付けにくいですが、レールを道床に通した後に曲がり癖を付ける方法があるため、無理に曲げようとして角折れが生じないよう注意してください。
緩和曲線はレールの曲がり具合が一様ではありませんが、曲がり癖をつけていないレールをそのまま通した場合では、常に道床素材に強い力がかかってしまいます。3Dプリントですので強度の観点からは、水平面方向に亀裂が入る向きの力に弱くなっています。(下から上に向かって、層を重ねるようにプリントされています。)道床素材を破損させない観点からも、ある程度曲がり癖をつけてから取り付けてください。
レールを押し込む際は、ある程度の力が必要になりますが、力任せに押し込むと、犬釘を破損させるおそれがあるので、慎重に差し込んでください。真っすぐになっている方からレールを差し込み、曲がっている方に向かって押し込んでいきます。そのまま道床の曲がっている側の端までレールを通した状態では、端の部分にきれいに曲がり癖がつかず、真っすぐになりがちです。この部分の曲がり癖のつけ方は、一旦レールを道床の先まで押し込んで、曲がり癖をつけてからまた戻す方法があります。レールを戻す際に直線側のレールの底で犬釘の内側を大きく削ることがないよに、レールの底の面取りは、両端とも行ってください。
曲線側のレールの曲がり具合の調整は、レールを道床に合わせて曲げるのではなく、曲がっているレールの、曲がり具合がちょうどいい場所を見つける、という方法をとります。長めに切断加工したレールを移動させ、ちょうどよい曲がり具合の場所を見つけます。
切断位置の目印はニッパ等で底の部分に傷をつけるとわかりやすいですが、傷の部分が犬釘を通り抜けなくなるので、順序を間違えないように注意してください。手順は大きく二通りあります。
まず、曲線側だけ、切断位置に傷をつけます。傷がついた曲線側を引っ張り出して、切断、整形加工します。その後、レールをちょうどの位置に戻し、直線側に傷をつけ、直線側に引っ張り出して、切断・成型加工をして元の位置に戻します。
曲線側と直線側の両側に切断位置の傷を付けた場合は、傷の部分が犬釘を通り抜けないようにスライドさせ、切断・成型加工を行います。K社用の場合では、大して問題にはなりません。T社用の場合では、先にジョイナーの突起のない側から切断・成型加工を行い、後からジョイナーの突起の先までスライドさせて切断・成型加工を行えば、傷がついた部分が犬釘を通らないように加工が可能です。
レールの曲がり具合や長さや端部の調整の際、道床素材の犬釘の内側などが削れる場合があります。その為、先にレールの調整を行ったうえでレールを引き抜き、塗装後、再度レールを取り付けます。
ジョイナーの取り付けは、Tkタイプに関しては、ひと手間が必要となりますので、別ページで解説します。